医療事務になりたいけれど、どうしたらいいのかよくわからない…。
そんなあなたは、まずは医療事務の『業務内容』を知るところから始めてみてはいかがでしょうか?
実は、医療事務とは言っても、病院とクリニックでは求められる業務に違いがあります。
また、病院によってはたくさんの役割に分かれており、業務内容次第で役立つ資格が違うことがあります。
ですので、まずは業務内容について知るところから始めてみましょう。
そして、どんな業務があるのかが少しわかってきたところで、その業務にぴったりの資格をご紹介いたします。
もちろん、資格が取得できる学習方法もお伝えいたしますので、
『医療事務になるにはどうしたらいい?』の答えである、
『必要な資格を取得して就職を目指す』に少しずつ近づいていくと思います。
この記事では、
『医療事務としてこんな仕事がしたいな』
『こんな仕事がしてみたいから、役立つような資格がほしいな』
といったように、具体的な気持ちが少しずつ生まれてくるためのお手伝いをいたします。
・資格情報や資格取得ができる方法をご紹介します。
クリニックでの業務内容
クリニック(診療所)とは、19床以下の医療機関を指します。
よって、その多くは外来診療がメインのため、外来での受付業務や診察後の会計、そしてレセプト点検が主な業務です。
受付から会計までの流れ
保険証の確認・問診票の記入依頼から始まり、どういった症状があるのかや、住所や生年月日などの基本情報を取得します。
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取得した情報をもとに新規のカルテや診察券を作成します。
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診察後は、医師が記載したカルテに沿って、必要な算定をコンピュータに入力していき、かかった医療費を計算します。
お薬がある人は、処方箋も発行します。
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患者さんに会計を依頼するとともに、お薬がある人は処方箋をお渡しします。
もし入院施設を併設している場合は、入院会計業務も加わってくることになります。
クリニックは、耳鼻科や眼科など、専門性に特化していることが多いので、外来請求も比較的パターンが決まっており、覚えやすいのが特徴です。
ですが、医療事務の人数が少ないので、受付も会計もレセプト請求もすべてを少人数でこなしていく必要があります。
・専門性に特化した場合が多いので、あれもこれもと覚えなくてよい。
病院での業務内容
病院の医療事務は、院内の各所で働いています。
例えば、外来窓口で働く人、病棟で働く人、
医師とともに働く人もいれば、統計やカルテを管理する人もいます。
病院の規模や方針によって違いはありますが、それぞれに業務内容が違いますし、その業務次第で呼ばれる名称が変わってくることもあります。
ここでは、医事課業務、クラーク業務、総務業務、医師事務作業補助業務の4つのグループに分けて業務内容や名称をご紹介いたします。
医事課業務
病院で『医事課』と呼ばれる部署では、受付や会計、レセプト業務などを行っています。
規模が大きい病院だと、入院患者をメインとした業務を担当している『入院係』と、
外来患者をメインとした業務を担当している『外来係』に分かれて業務を行っています。
医事課外来係は、患者さんと直接接するような受付業務と、外来請求業務・外来レセプト業務を行っています。
医事課入院係は、入院費の請求業務や入院レセプト業務を行っています。
それでは、メインの仕事である『受付業務』と『会計業務』『レセプト業務』について、それぞれにご紹介いたします。
受付業務
受付業務の流れ
クリニックの受付業務と一緒で、紹介状や保険証の受け取りから始まり、問診票や住所などの患者さんの基本情報を記入してもらいます。
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取得した情報をもとに新規のカルテや診察券を作成します。
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別の診療科窓口に行く場合は、ご案内したり口頭で場所をお伝えします。
病院の規模が大きいほど、口頭でのご案内が多い印象です。
病院は、たくさんの患者さんが訪れます。
中には同姓同名の患者さんもいますので、間違えては大問題です。
よって、しっかりと患者さんの正確な情報を収集・入力する必要があります。
・正確な情報収集と入力が求められる
会計業務
会計は、患者さんへの請求書を作成しお金を徴収する業務です。
病院での会計は、診療科や病院の規模によっても違ってきますが、クリニックよりも複雑な面や覚える知識がたくさんあります。
また、入院と外来で、少し違いがありますのでそれぞれ簡単ご紹介いたします。
外来会計
診察後、医師が記載したカルテに沿って、必要な算定をコンピュータに入力していき、かかった医療費を計算します。
請求書の他に、お薬がある人は処方箋も発行します。
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患者さんに会計をしていただき、お薬がある人は処方箋をお渡しします。
病院によっては、請求書を作成するのみで、会計は精算機で行う場合もあります。
入院会計
入院費は、入院日と退院日が同月内であれば、入院日から退院日までを計算します。
長期入院している場合は、月に一度、1か月分の入院費を計算します。
今は電子カルテの場合が多いので、パソコン上からカルテをチェックして、病棟から送られてくるデータに不備がないかを確認します。
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そのほかに、お部屋代やおむつ代などの自費分を考慮しながら、一人一人に合わせて請求書を作成します。
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作成した請求書は、入院中の病棟を通じて配られたりします。
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患者さんに会計をしていただきます。
退院の場合は、前日に入院費の概算(おおよその金額)を算出して、患者さんにお伝えします。
レセプト業務
月末月初はレセプト業務があります。
レセプト業務とは、患者さんごとに1か月分の診療報酬明細書(レセプト)を作成し、支払基金と呼ばれる診療報酬の審査をするところへ診療報酬明細書を請求する業務です。
支払基金での審査が通れば、支払基金は患者さんそれぞれの保険者(協会けんぽや健康保険組合など)に請求します。
そして、支払基金へ保険者から診療報酬が支払われ、
受け取った診療報酬を、支払基金から医療機関へ支払う仕組みです。
ちょっとややこしいですが、この作業を毎月10日までに完了させるために、月末月初は特に忙しく作業をこなしています。
特に入院時のレセプトは、お金が大きく動きますので、よりしっかりとチェックしなければなりません。
不備が見つかれば、レセプトが戻ってきてしまう『返戻』となってしまい、お金を受け取るタイミングが長引いてしまします。
医師とのやりとりが多くなり、やりがいも十分あります。
また、レセプト期間中は残業も視野に入れておく必要があるでしょう。
・レセプトに関する知識があるほうが業務の幅が広がる。
クラーク業務
クラークとは、外来での各種診療窓口業務や、病棟での事務的作業を行う医療事務です。
クラークは大きく分けて2種類あり、『外来クラーク』と『病棟クラーク』と呼ばれていますので、それぞれにご紹介いたします。
外来クラークとは
外来クラークとは、総合病院などいくつもの診療科のある病院で、『各診療科での事務業務』を行う医療事務です。
主に窓口に立ち、患者さんから診察券などを受け取った後、外来カルテを準備し診察室に回すなど、診察をスムーズに行えるような役割を担っています。
診察後は、会計票や診察券をお返しするまでが一連の流れです。
診療時間中はたくさんの人で込み合っているので、常に忙しく動いていることが多いです。
診療後は、患者さんから予約の電話を受けたり、予約変更処理業務も行っています。
病棟クラークとは
入院病棟にて、各種医療スタッフがスムーズに業務が行えるよう事務的作業を行うのが病棟クラークです。
主に、ナースステーションやその近辺で業務を行っています。
主な業務は、入院患者さんに対して各種書類の説明、入退院の事務的手続き、ネームプレートなどの備品の作成、回診準備や病棟内の電話対応などです。
医師や看護師を始め、介護士やリハビリスタッフなどの多職種との連携も多いので、コミュニケーションスキルが欠かせないと言えるでしょう。
病棟クラークは、一つの病棟に1人の配置など、少人数体制であることが多いです。
最初は1人で業務をするのは大変かもしれませんが、ルーティンワークも多く、慣れてしまえば面白く感じる業務です。
・どちらも少人数体制なことが多い。
総務業務
一般企業にもあるように、病院にも総務部があり経理をはじめ庶務業務などがあります。
病院によって配置の違いはありますが、主なものを上げると、
・経理業務
・用度・庶務業務
・医療秘書業務
・システム業務
・電話交換業務
などがあります。
経理業務は、院内の経理や給料など、お金に関するお仕事です。
用度・庶務業務は、院内で購入する消耗品の購入や設備関係に関するお仕事です。
医療秘書業務は、医師のスケジュールを管理・報告をするお仕事です。
システム業務は、院内SEとも呼ばれ、システムトラブルに対応したりするお仕事です。
電話交換業務は、専任の電話交換手が、外部からの電話を必要部署につなげるお仕事です。
面とした患者さんとの関わりは少なくなりますが、内面から病院やスタッフを支える医療事務がたくさん活躍しています。
・医療事務資格よりも、経理の資格やシステム関連資格がある人が優遇されることもある。
医師事務作業補助業務
医師事務作業補助業務とは、医師の事務作業を代行して行う業務となっています。
医師の業務負担を軽減するために誕生した職種となっており、需要が高く、今後も求められる職種となっています。
主な業務としては、診断書作成の代行業務、電子カルテ入力の代行業務などがあります。
病院によって働くスタイルは違いますが、専門的な業務に携わることができるので、充実感ややりがいもあるでしょう。
レセプトや会計とはまた違った業務がしてみたいという人には、おすすめの業務です。
・医師の代行業務に専念できる。(受付や会計など違う仕事はしない)
おすすめの資格
それでは、就業場所や業務別におすすめする資格についてご紹介いたします。
医療事務を目指すすべての人におすすめ!最強資格
医療機関で働きたい人すべてにおすすめする資格はこちらです。
資 格 | 合格率 | 学べる 通信講座 |
---|---|---|
診療報酬請求事務能力認定試験 | 約36% | ▾ヒューマンアカデミー通信講座 |
医療事務資格の中で難易度が高い資格ですが、人気も認知度もバツグンの資格ですのでおすすめです。
クリニックで働きたい人向けの資格
クリニックでは入院施設がない場合が多いので、基礎的な外来請求の知識をメインで学びたいと考えている方には次の資格がおすすめです。
資 格 | 合格率 | 学べる 通信講座 |
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医療事務認定実務者® | 約80% | ▾ユーキャン ▾ヒューマンアカデミー通信講座 |
医療事務(医科)能力検定試験 (3級・2級) | 非公開 総得点70%以上で合格 | ▾資格の大原 |
病院で会計やレセプトに関わりたい人向けの資格
病院では外来の他に、入院患者様の会計やレセプト業務もあります。
そんな入院会計やレセプトの知識が求められる資格を、
【難易度が易しい資格】と【難易度が高めの資格】に分けてご紹介いたします。
難易度が易しい資格
資 格 | 合格率 | 学べる 通信講座 |
---|---|---|
医療事務検定試験 | 約90% | ▾日本医療事務協会 |
医療事務(JADP主催) | 非公開 得点率70%以上で合格 | ▾資格のキャリカレ |
医療事務技能認定試験 | 約85% | なし (教材販売あり) |
難易度が高めの資格
資格 | 合格率 | 学べる 通信講座 |
---|---|---|
医療事務技能審査試験 (メディカルクラーク®) | 非公開 得点率70%以上で合格 | ▾ニチイ |
医療事務(医科)能力検定試験(1級) | 非公開 総得点70%以上で合格 | ▾資格の大原 |
医科 医療事務管理士®技能認定試験 | 約84% | ▾資格スクール大栄 |
※前述したおすすめ最強資格の『診療報酬請求事務能力認定試験』は、難易度が高めの資格に該当します。
医師事務作業補助者になりたい人向けの資格
医師の補助をする仕事が気になるあなたには、こちらの資格がおすすめです。
資格 | 合格率 | 学べる 通信講座 |
---|---|---|
医師事務作業補助技能認定試験 (ドクターズクラーク®) | 非公開 得点率70%以上で合格 | ▾ニチイ |
認定医師秘書™ (医師事務作業補助業務 実務能力認定試験) | 非公開 実施回毎の受験者偏差値55以上 または8割以上 | ▾ヒューマンアカデミー通信講座 |
医師事務作業補助者 (ドクターズオフィスワークアシスト®)検定試験 | 約90% (2023年) | ▾なし (教材のみ販売あり) |
学習方法のおすすめは?
資格によっては問題集や教材が出版されているので独学は可能です。
例えば、人気の『診療報酬請求事務能力認定試験』は、関連書籍が毎年出ているので、問題集などを入手しやすいかと思います。
医療事務技能認定試験も、主催協会公認の学習教材がまとめて購入できますので、独学のための教材を集めやすいです。
ですが経験上、手っ取り早く『確実』に資格取得がしたいと思うなら、通信講座が断然おすすめです。
それは、特に初心者は何から手を付けたらいいのかがわからなかったり、資格の学習範囲外まで手を伸ばしてしまいがちなので、
合格に向けてしっかりとしたカリキュラムと教材をそろえてある通信講座のほうが、方向性を見失わず安心できると言えるでしょう。
・通信講座は、目的の資格まで最短で学習ができる
あなたはどんな医療事務を目指しますか?
いかがでしたでしょうか。
医療事務でも、クリニックと病院では違うこと、
そして、病院の中でもたくさんの役割に分かれて、医療事務が働いていることがおわかりいただけたでしょうか?
あなたは、どんな場所で働いてみたいですか?
どんな業務がやってみたいですか?
医療事務のことが少しわかったら、次は資格取得を目指してみましょう。
資格取得ができると、『就職』に向かって大きく前進できますよ。
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